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雨漏り被害がある家を売却するには

不動産のこと

今日は不動産の話です。

今日、買取の査定依頼を受けて内見をした物件は現在空き家となっており、雨漏り被害個所が多々ある物件でした。

やはり雨漏り被害があるせいで、仲介業者に依頼し一般に公開していてもなかなか買い手がつかず、安くてもいいから買い取って欲しいとのことでした。

そこで、雨漏り被害がある家を売却する方法について、わかりやすく説明したいと思います。

雨漏り被害がもたらすデメリット

住宅内にカビが発生する

雨漏りがあると、当然ながら雨水が住宅内に浸入します。その浸入した雨水によって、天井や壁にシミができ、そこで初めて雨漏りに気付く方が多いようです。

継続して雨水が住宅内に浸入していれば、そのシミの付近にはカビが発生します。

カビは、木材、接着剤、塗料など建築に使われるものや、空気中の汚れをエサにして増えていき、例えば喘息、アトピー、アレルギー性鼻炎などのアレルギー反応や、カビの臭いなどを原因とするストレスなど、健康に被害を及ぼす可能性が考えられます。

カビが生えた家をあなたはそのまま買いますか?…多分、買いませんよね。つまり、カビの生えた家を売却することは、なかなか難しいということです。

構造体の腐食やシロアリ被害が発生する

継続して雨水が住宅内に浸入し、家の構造体が長く雨水にさらされると、木造であれば木材が、鉄骨造であれば鉄骨が、コンクリート造であれば鉄筋が腐食していきます。

そして家の構造上主要な部分(土台や柱、屋根など)に腐食が進行すると、建物の強度が著しく低下し、被害個所の補修や家屋の解体が必要になる可能性や、特に木造住宅の場合、雨漏り被害による湿気がシロアリ被害につながる可能性があります。

構造体に問題がある家をあなたはそのまま買いますか?…多分、買いませんよね。つまり、構造体に問題がある家を売却することは、なかなか難しいということです。

雨水の浸入場所を特定することが難しい

雨水はいたるところから浸入する可能性があり、雨漏りは築年数に関係なくどの家にも起こり得ますが、雨漏りは雨水の浸入場所と建物内で雨漏りが起きている場所が同じとは限らないため、雨漏りの原因を特定することが難しいことも多く、補修に時間と費用を要する可能性も考えられます。

雨漏りの原因が特定できない家をあなたはそのまま買いますか?…多分、買いませんよね。つまり、原因がわからず雨漏りを止めることができていない家を売却することは、なかなか難しいということです。

売却時に「契約不適合責任」のリスクがある

「契約不適合責任」とは、売買の目的物に「契約内容に適合していない部分」がある場合に、売主に課される法的責任のことです。

雨漏り被害は「物理的瑕疵」に該当し、売主から買主に対して「告知義務」があります。

当然ながら、売買契約前に買主が雨漏り被害を自力で発見することは難しいため、買主が保護されないようではリスクが高く、安心して売買ができません。

そこで買主を保護するために、「契約不適合責任」が民法に定められているわけです。

雨漏り被害があることを売主が買主に告知せず売却した場合、「契約不適合責任」を問われ、契約の解除や追完請求、代金減額請求などを受けることになります。

つまり、雨漏りがある家をそのまま売却した場合、雨漏りの状況を正確に買主に伝えていなければ、後々雨漏りのクレームが来た場合に対応しなければならない可能性があるということです。

雨漏り被害がある家を売却する方法4選

雨漏りがある家を売却するための方法として、次の4つが考えられます。

今後の雨漏り被害を防止した後に売却する

まだ雨漏りの被害が軽微であれば、被害が拡大する前に建物の点検を実施し、必要に応じ補修や塗装工事を行い、今後の雨漏り被害を防止したうえで売却をするという方法があります。

もちろん工事にはそれなりの費用がかかりますが、雨漏り被害を理由に購入を断られるケースを回避できる可能性があります。施工前と施工後の写真を撮っておき、被害個所の状況と補修方法を買主にしっかり説明すれば、より一層買主の安心感も増し、スムーズな売却につながる可能性が高いと思います。

構造上主要な部分を補修して売却する

雨漏りにより家の構造上主要な部分に腐食があるものの、まだ補修が可能な場合には、上述の雨漏り防止工事に追加して構造体の被害部分の補修をし、建物のダメージを回復して売却するという方法があります。

もちろん工事にかなりの費用はかかりますが、雨漏り被害を理由に購入を断られるケースを回避できる可能性があります。施工前と施工後の写真を撮っておき、被害個所の状況と補修方法を買主にしっかり説明すれば、より一層買主の安心感も増し、スムーズな売却につながる可能性が高いと思います。

建物を解体して更地で売却する

空き家の場合などで雨漏り被害が相当進行しており、被害が甚大で補修するにも過分の費用が発生するような場合は、建物を解体してしまい、更地にして販売するという方法があります。

もちろん解体工事には相当の費用がかかりますが、被害状況によっては、「補修するよりも、解体した方が費用が抑えられる」という可能性があります。

建物を解体してしまえば、契約不適合責任の対象となる建物が存在しないため、売主にとっても安心です。ただし注意点として、土地についての契約不適合責任まで無くなるわけではありません。

また、再建築不可物件の場合、既存の建物を解体してしまうと建て直しができなくなります。建物を解体する場合は、よく検討してから依頼することをオススメします。

不動産買取業者に売却する

一般のお客様の中から買い手を探すとなると、前述したように雨漏り被害の補修に費用がかかる可能性があり、また、売却まで数ヶ月以上の時間を要することも珍しくありません。

そこで、不動産買取業者に「雨漏りした現状のまま」家を買い取ってもらうという方法があります。

不動産買取業者に家を買い取ってもらえば、雨漏り被害はそのままの状態で売却できる可能性があり、補修の費用がかかりません。しかも不動産のプロが直接買取をするため、売買契約に前述した売主の「契約不適合責任」が免責となる特約が入る場合もあり、売主にとって安心です。

ただし注意点として、不動産買取業者に買い取ってもらう場合「早く」「確実に」現金化できる反面、売却価格は市場価格よりやや安くなりがちです。売買価格はその買取業者の「言い値」に感じ、価格への納得感は薄いかもしれません。

今回の僕のケース

ちなみに僕の勤務する会社は不動産買取会社ですので、もちろん今回、僕(の会社)が買取を検討するため物件を内見しました。

昭和40年代に建てられた古い住宅で、瓦がかなり劣化をしているため雨漏りをしたものと思われ、改善するためには屋根の葺き替えが必要だと判断しました。

屋根の葺き替えには相当の費用がかかりますので、その工事費を考慮した買取査定額を提示させてもらいました。

査定金額自体はなかなか厳しいものとなりましたが、そのような雨漏りがある状態のまま売却でき、さらに「契約不適合責任」が免責なので引き渡し後もクレームが発生しないことをメリットと感じてもらえればいいなと思います。

まとめ

雨漏りは築年数に関係なくどの家にも起こり得ますが、雨漏りがあると以下のデメリットがあります。

  • 住宅内にカビが発生する
  • 構造体の腐食やシロアリ被害が発生する
  • 雨水の浸入場所を特定することが難しい

それらのデメリットを気にせず購入してくれる買主を見つけることは至難の業ではないかと思いますので、通常、雨漏りがある家を売却するには下記のいずれかの対策を取ることになると思います。

  • 今後の雨漏り被害を防止した後に売却する
  • 構造上主要な部分を補修して売却する
  • 建物を解体して更地で売却する

しかしそれらの工事は、少なくない費用がかかります。それならば逆に、その費用分を価格から割引してでも「不動産買取業者に売却」した方が、「契約不適合責任も免責」となり、安心して売却できると僕は考えます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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