今日は事業承継の話です。
今年75歳になる僕の両親は、社員が両親2人のみの超零細企業を経営していますが、最近「疲れた、もう会社をたたみたい」と言うようになりました。
M&Aなども検討、相談したみたいですが具体的な話にはならず、おまけに実家の土地や親戚の土地を担保にして借り入れをしていて、その借り入れを一括返済をする資金もないまま、今でも老体に鞭打って働いている状況です。
ここは長男である僕が親孝行をするべきタイミングなのかな、と考えるようになりました。
ですが、僕もサラリーマンなので事業承継のことは何も知らないため、先日、初めて商工会議所の「事業承継・引継ぎ支援センター」というところへ事業承継について相談に行きました。
これから事業承継について色々学んでいくことがあると思いますので、このブログに記録していこうと思います。
親族内承継とは
事業承継は誰に企業(経営)を承継させるかによって、3つの種類に分けられます。その中で「親族内承継」とは、現経営者の子をはじめとした親族に承継する方法です。
親族内承継のメリット
関係者から心情的に受け入れられやすい
スムーズに事業承継を進めるためには、あらかじめ従業員や取引先に後継者を周知していくことが必要ですが、日本では、現経営者の子供が会社を引き継ぐ方法が従来多くの企業で採用されてきた手法ですので、一般的に従業員や取引先から心情的に受け入れられやすいことが挙げられます。
準備期間の確保がしやすく後継者の育成が可能
後継者教育には社内での教育のほか、社外での経験も積ませるなど一定の期間を必要としますが、親族内承継では経営者本人の子供や兄弟などの親族が後継者となるため、他の承継方法と比べて長期間の準備期間確保がしやすく、早い段階で育成や事業の引継ぎ準備を始めることができます。
相続・贈与などの節税対策がしやすい
親族内承継では、経営者が生前に相続や贈与の計画を立てることができ、相続・贈与とからめて事業用資産や株式の後継者移転が可能ですので、会社の所有権と経営権の一体的な承継が期待できます。これにより、相続税や贈与税の節税対策をすることができ、事業の継続性や財務面においてメリットを享受できる可能性もあります。
親族内承継のデメリット
適性のある親族がいるとは限らない
親族内に後継者候補がいることと、経営者としての資質の有無、本人の意欲の有無は別問題です。現経営者が親族に承継したいと思っても、事業経営の能力や適性、意欲をもった親族がいるとは限らず、経営者の器がない者が後継者になってしまうと、従業員や取引先の反感を買うことになりかねません。
また、家業にとらわれない職業選択をする方も増えているので、「親族」という限られた範囲で承継を行うことは後継者の確保が難しい可能性もあり、適性のある親族が不在となると事業の継続と成長が困難になる場合があります。
後継者の決定・経営権の集中が難しい
相続人が複数いる場合、事業用資産や株式を後継者へ一括で承継することが難しい場合があります。事業用資産や株式が分散してしまうと、経営者としての判断や意思決定に制約が生じるなど承継後の安定的な経営に影響を与えかねません。
また、親族内トラブルにも気をつけなければならない場合がありますので、親族内で経営権をめぐる紛争を避けるために、誰が後継者となるか、後継者ではない親族に対する財産分与をどうするかなどの方針をあらかじめ親族間での会議で決めておく必要があります。
借入に対する現経営者の個人保証などの問題
親族内承継では、現経営者が行った借入に対する個人保証や、契約などの責任が後継者に引き継がれた場合、後継者に負担がかかるため、後継者が承継をためらう可能性も考えられます。
親族内承継を成功させるには
トラブルを回避して親族内承継を円滑に進めるためには、どういった点に注意すればよいのでしょうか。いくつかの押さえておくべきポイントがありますので、それぞれについて見ていきましょう。
後継者候補の選定・意思確認
後継者候補は、候補者本人の適性や年齢、意向などをふまえ慎重に検討したうえで、できるだけ早い段階で、候補者本人へのアナウンスと本人の明示的な了解を確認することが大切です。また、後継者候補が複数いる場合はそれぞれと意思疎通を図り、なるべく早期に候補者を決定するべきです。
経営状況・経営課題などの把握
事業承継を円滑に進めるには、会社の経営状況や経営課題、事業承継に関しての課題等を正確に把握・見える化し、今後に向けて方向性を見出すことが必要です。
事業承継計画の策定と周知
「いつ、どのように、何を、誰に承継するのか」について、具体的な「事業承継計画」を策定しなければなりません。さらに他の親族や社内・取引先・金融機関に対して、「事業承継計画」を公表するなどの事前通知を行っておくことが重要です。
会社の魅力の磨き上げ
現経営者は事業用資産や自社株式といった目に見える資産だけでなく、経営理念、経営者の信用、ノウハウ、技術、取引先との人脈、顧客情報、許認可などといった目に見えにくい経営資源(知的資産)を「見える化」し後継者に伝えることが重要です。
会社の強み・弱みを現経営者と後継者が一緒に考え、強みを活かし弱みを補い将来に向けた事業のあり方をまとめるための取り組みが会社の魅力の磨き上げにつながります。
後継者教育
経営に必要な能力・知識を後継者に習得させるために、主に以下のような「社内教育」と「社外教育」の2つの教育を実施します。
社内教育
- 現経営者による指導
- 自社の各部署をローテーションさせる
- 責任ある地位に就けて権限を委譲 など
社外教育
- 他社での勤務や子会社経営の経験を積む
- セミナー等で体系的な教育を受ける など
個人保証や担保の処理
現経営者の個人保証については、将来的に後継者が多額の返済負担を負う可能性があることから、後継者確保のネックのひとつとなっています。
そこで、事業承継時に後継者の経営者保証を可能な限り解除していくため、経営者保証を不要とする新たな信用保証制度である「事業承継特別保証」など、事業承継を推進するために国が設けているさまざまな制度の積極的な活用を検討することが有効です。
まとめ
「親族内承継」とは、企業(経営)を現経営者の子をはじめとした親族に承継する方法です。
親族内承継のメリットは主に下記の3つが考えられます。
- 関係者から心情的に受け入れられやすい
- 準備期間の確保がしやすく後継者の育成が可能
- 相続・贈与などの節税対策がしやすい
逆に親族内承継のデメリットは主に下記の3点が考えられます。
- 適性のある親族がいるとは限らない
- 後継者の決定・経営権の集中が難しい
- 借入に対する現経営者の個人保証などの問題
親族内承継を成功させるポイントとしては、まず、できるだけ早い段階で候補者を決定し、候補者本人へのアナウンスと本人の明示的な了解を確認することが大切です。
次に会社の経営状況や経営課題、事業承継に関しての課題等を正確に把握・見える化し、今後に向けて方向性を見出し、具体的な「事業承継計画」を策定したうえで関係者へ周知しておくことも重要です。
現経営者は経営理念、経営者の信用、ノウハウ、技術、取引先との人脈、顧客情報、許認可などといった目に見えにくい経営資源(知的資産)を「見える化」し後継者に伝え、会社の強みを活かし弱みを補い将来に向けた事業のあり方を現経営者と後継者が一緒に考えることが、会社の魅力の磨き上げにつながります。
現経営者は経営に必要な能力・知識を後継者に習得させるために、主に以下のような「社内教育」と「社外教育」の2つの教育を実施しつつ、事業承継時に後継者の経営者保証を可能な限り解除していくため、経営者保証を不要とする新たな信用保証制度である「事業承継特別保証」などの制度の積極的な活用を検討していくことが有効です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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