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シロアリ被害がある家を売却するには

不動産のこと

今日は不動産の話です。

先日、買取の査定依頼を受けて内見をした物件は現在空き家となっており、シロアリの被害個所がある物件でした。

どこまでシロアリ被害が広がっているかわからず、仲介業者さんとしては契約不適合責任を負うリスクを不安に感じ、一般の買主さんに売却するよりも不動産買取業者に買い取ってもらう方が安心だろう、とのことでした。

そこで、シロアリ被害がある家を売却する方法について、わかりやすく説明したいと思います。

家とシロアリの関係

日本は木造住宅が多い国です。林野庁のデータによると、令和3年時点で新設住宅着工戸数に占める木造住宅の割合は全体の59%を占め、特に一戸建て住宅に限定すると、実に91%を占めています。

その木造住宅の天敵ともいえるのが、シロアリです。公益社団法人日本しろあり対策協会によると、日本には22種類のシロアリが生息していますが、建築物に被害を加えるシロアリは主に「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」の2種類です。

「ヤマトシロアリ」は湿気の多いところを好み、その被害は木部の腐食と同時に起こることが多く、主に床下など建物の下部に被害を与えます。

「イエシロアリ」は建物内部に塊状の大きな巣をつくるため、被害の広がる速度が速く、また、乾燥した場所でも水を運びながら加害していくため、被害は家全体に及ぶ可能性があります。

シロアリ被害がもたらすデメリット

被害を発見しにくい

シロアリは光に弱く、地中から床下などを通って侵入してくるため普段は人目につかず、知らないうちに被害が進行していることが多いです。

床がきしむ、床がブカブカする、建具の建てつけが悪くなる、柱を叩くと空洞音がするなどの症状が現れ始めたら、いつの間にか被害が進行している可能性があります。

建物の強度が低下する

家の構造上主要な部分(土台や柱、梁など)がシロアリの被害を受けてしまうと、建物の強度が著しく低下し、建物の寿命を縮めるリスクがあります。

また、すぐには倒壊しなくても、万が一の地震発生時には、その揺れに耐えられない可能性が高くなります。実際に1995年に発生した「阪神淡路大震災」において、全壊した建物の大半がシロアリの被害を受けていたと言われています。

売却時に「契約不適合責任」のリスクがある

「契約不適合責任」とは、売買の目的物に「契約内容に適合していない部分」がある場合に、売主に課される法的責任のことです。

シロアリ被害は「物理的瑕疵」に該当し、売主から買主に対して「告知義務」があります。

当然ながら、売買契約前に買主がシロアリ被害を自力で発見することは難しいため、買主が保護されないようではリスクが高く、安心して売買ができません。

そこで買主を保護するために、「契約不適合責任」が民法に定められているわけです。

シロアリ被害があることを売主が買主に告知せず売却した場合、「契約不適合責任」を問われ、契約の解除や追完請求、代金減額請求などを受けることになります。

つまり、シロアリ被害がある家をそのまま売却した場合、被害の状況を正確に買主に伝えていなければ、後々クレームが来た場合に対応しなければならない可能性があるということです。

シロアリ被害がある家を売却する方法4選

シロアリ被害がある家を売却するための方法として、次の4つが考えられます。

シロアリ駆除・防除工事を行い売却する

まずは専門業者による点検を行い、その結果まだシロアリの被害が軽微であれば、被害が拡大する前にしっかり駆除・防除工事を行い売却をするという方法があります。

もちろん点検と工事にはそれなりの費用がかかりますが、被害状況と施工中の写真を業者から取得し買主にしっかり説明すれば、買主の安心感を得られ、スムーズな売却につながる可能性が高いと思います。

被害を補修して売却する

シロアリ被害があるものの、まだ補修が可能な場合に、自分で被害部分の補修をし、建物のダメージを回復したうえで駆除・防除工事を行い売却するという方法があります。

もちろん工事にかなりの費用はかかりますが、シロアリ被害を理由に購入を断られるケースを回避できる可能性があります。補修工事の施工前と施工後の写真を撮っておき、被害個所の状況と補修方法を買主にしっかり説明すれば、より一層買主の安心感も増し、スムーズな売却につながる可能性が高いと思います。

建物を解体して更地で売却する

空き家の場合などでシロアリ被害が相当進行しており、被害が甚大で補修するにも過分の費用が発生するような場合は、建物を解体してしまい、更地にして販売するという方法があります。

もちろん解体工事には相当の費用がかかりますが、特にイエシロアリの場合など被害状況によっては、「補修するよりも、解体した方が費用が抑えられる」という可能性があります。

建物を解体してしまえば、契約不適合責任の対象となる建物が存在しないため、売主にとっても安心です。ただし注意点として、土地についての契約不適合責任まで無くなるわけではありません。

また、再建築不可物件の場合、既存の建物を解体してしまうと建て直しができなくなります。建物を解体する場合は、よく検討してから依頼することをオススメします。

不動産買取業者に売却する

一般のお客様の中から買い手を探すとなると、前述したようにシロアリ被害の補修に費用がかかる可能性があり、また、売却まで数ヶ月以上の時間を要することも珍しくありません。

そこで、不動産買取業者に「シロアリ被害がある現状のまま」家を買い取ってもらうという方法があります。

不動産買取業者に家を買い取ってもらえば、シロアリ被害はそのままの状態で売却できる可能性があり、補修の費用がかかりません。しかも不動産のプロが直接買取をするため、売買契約に前述した売主の「契約不適合責任」が免責となる特約が入る場合もあり、売主にとって安心です。

ただし注意点として、不動産買取業者に買い取ってもらう場合「早く」「確実に」現金化できる反面、売却価格は市場価格よりやや安くなりがちです。売買価格はその買取業者の「言い値」に感じ、価格への納得感は薄いかもしれません。

今回の僕のケース

ちなみに僕の勤務する会社は不動産買取会社ですので、もちろん今回、僕(の会社)が買取を検討するため物件を内見しました。

平成初期に建てられた和風住宅で、基礎コンクリート表面にシロアリが移動するために土や排泄物でつくった蟻道が見受けられ、さらに建物外部にある濡れ縁にかなりの食害も見受けられました。

床下点検口から目視できる範囲では被害状況がわからず、専門家による点検は必要ですが、ある程度建物本体の構造部分まで被害は及んでいるであろうと判断しました。

構造部分の補修には相当の費用がかかりますので、その工事費を考慮した買取査定額を提示させてもらいました。

査定金額自体はなかなか厳しいものとなりましたが、そのようなシロアリ被害がある状態のまま売却でき、さらに「契約不適合責任」が免責なので引き渡し後もクレームが発生しないことをメリットと感じてもらえればいいなと思います。

まとめ

日本は木造住宅が多く、木造住宅の天敵ともいえるのがシロアリです。

シロアリは地中から床下などを通って侵入してくるため被害を発見しにくく、知らないうちに家の構造上主要な部分(土台や柱、梁など)がシロアリの被害を受けてしまうと、建物の強度が著しく低下し、建物の寿命を縮めるリスクがあります。

そのリスクを気にせず購入してくれる買主を見つけることは至難の業ではないかと思いますので、通常、シロアリ被害がある家を売却するには下記のいずれかの対策を取ることになると思います。

  • 被害が軽微ならシロアリ駆除・防除工事を行い売却する
  • 被害が補修が可能なら補修して売却する
  • 被害が甚大なら建物を解体して更地で売却する

しかしそれらの工事は、少なくない費用がかかります。それならば逆に、その費用分を価格から割引してでも「不動産買取業者に売却」した方が、「契約不適合責任も免責」となり、安心して売却できると僕は考えます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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